Rambo先生のリアクションタイムに関する動画を紹介します。
Rambo先生は本当に素晴らしすぎる。英語がわからないと、こういった情報を理解することが出来なくなり、日本のFPSはますます世界のFPSから遅れていきますね。
www.youtube.comこの動画では、リアクションタイムに関する研究論文をもとにして、どういう要素がリアクションタイムに対してどのような影響を与えるのかということをまとめています。
要素というのは以下のようなものです。
- 年齢
- 性別
- 睡眠
- カフェインの摂取
- トレーニングによってリアクションタイムは改善されるか?
- IQ
興味のある方は最後までお読みください。動画の内容を簡潔にまとめました。特に若い人は、英語の勉強と思って、動画のリスニングにも挑戦してみてください。
年齢との関係
実験内容
的が画面の左右どちらかに現れる。その瞬間にマウスをクリックしてリアクションタイムを計測する。マウスには遅延の少ないゲーミングマウスを使う。
結果
青と赤は似たような実験。横軸が年齢で、縦軸がリアクションタイム。真ん中の黒線は回帰直線。これによると、年齢が1歳上がるとリアクションタイムは0.5ms遅くなる。しかしこれに対しては、認識自体の時間は年齢によって変わらないが、クリックする速度が年齢によって遅くなるという結果なのではと考察されている。
この結果に対して私は、1歳でたった0.5msしかリアクションタイムが変わらないのであれば、年齢による劣化は言い訳にしかすぎず、そもそも個体差の方が大きいと考える。(20歳でたった10msしか変わらないが、個体差はそれよりもっと大きいから)
ヒットレートは若い方が下がる
的が出てからクリックした場合はヒットしたと判断する。この数値は、若い層では93%だったが、年齢の高い層では、97%だった。
的の出た位置によってリアクションタイムは違う
右利きでは、左に的が出た場合の方がリアクションタイムが0.61ms早かった。これは、右の動作は左の脳によって行われているからだろうと考察されている。
似たような話だが、効き目と持ち手がエイムに与える影響については以前に書いた。
性別との関係
性差はない。女性の方が外的刺激への反応自体は速いが、男性の方が押す速度が速いため帳消しにされているという研究もある。
睡眠との関係
実験内容
大学生のアスリートに決まった時間睡眠してもらい、リアクションタイムを計測する。
実験1は、まずふつうに8時間睡眠したグループと24時間無睡眠のグループ間で比較した。この結果、前者の方が37ms早かった。これは上の研究によると70歳分に相当する。
実験2は、3日間の睡眠を888,855,833のパターンにわけて、グループ内で睡眠の減少がどのような影響があるか調べた。その結果、888は当然だがリアクションタイムは日によって変化しなかったが、855では+24,+7と変化した。833では、+31,+7と変化した。これはつまり、睡眠時間がたった1日5時間になっただけでも50歳くらい歳をとったような反応速度になってしまうということを意味する。また、睡眠時間の負債は穏やかだが蓄積することを意味する。
睡眠は大事だねという話。
私は、社会人のリアクションタイムが悪くなるのは、加齢のせいではなく、単に、疲れているからではないかと考えている。
サーカディアンリズム
ナースの日勤・夜勤のグループでリアクションタイムを計測した。すると、日勤の方がリアクションタイムが早かった。これはつまり、サーカディアンリズムに沿った睡眠をとっている方がリアクションタイムが良いことを意味する。
カフェイン摂取の効果
結論をいうと、カフェインにはリアクションタイムを改善する効果がある。
実験1、0mg,800mgのカフェインをとらせてみると、リアクションタイムが改善した。
実験2,0mg,300mg,600mgのカフェインをとらせてみる。すると、0mgから300mgに増やした時には顕著なブーストがあったが、300mgから600mgに増やした時には改善がなかった。
カフェインは300mgとるのがよさそう。
これはモンスター二本分に相当して、身体に悪いので、錠剤をキメましょう。
トレーニングによって改善するか?
トレーニングによってリアクションタイムは改善するのか?結論としては、する。
これは、知覚的に反応してからそれが行動に移るまでのコストが低くなったためと考えられる。
また、イメージトレーニングによってもリアクションタイムは改善する。
音と視覚情報だとどちらが早いか
音の情報の方が早い。音だと脳に届くまで8-10msだが、視覚情報では20-40msかかるため。
Hick's Low
経験を積むことによって、そもそも選択の候補を絞ることも、リアクションタイムの改善に繋がる。
Hick's Lowは、リアクションタイムRTは動作部分と情報処理部分にわけることが出来て、動作部分はコンスタントだが、情報処理部分は、選択の候補nに対してlog(n)になるという法則である。すなわちRT=a+b log(n)
この式は、選択の候補を絞りこむのを二分探索のように行うというモデルにしてるということだと理解出来る。
IQとの関係
IQが高い方がリアクションタイムは早くなる。
これは、Hick's Lowにおけるbの値は情報処理能力の逆数であり、情報処理能力が高くなると、2項目が小さくなるから。
ちなみに調べてみると、速読トレーニングによって脳の処理能力を高めて、スポーツにおける情報処理能力向上に役立てるというメソッドはすでに存在するようです。興味のある方はどうぞ。